キャンプの際の花火でやけどした、ヘアアイロンを触ってしまった、熱い味噌汁がかかった・・
やけどのご相談は、日常診療でよくあるものの1つです。
こどものやけど(熱傷)の早期のケアは非常に重要で、深さによって治療が異なります。
自宅でできること、受診の目安などをお話しします。
熱傷の深度分類

熱傷は、その深さに応じて以下のように分類されます。
- Ⅰ度熱傷(表皮熱傷)
- 特徴: 皮膚の表面(表皮)のみが損傷しています。赤くなり、軽い腫れや痛み。水疱はなし。
- 治療: 冷却と適切な保湿やステロイド軟膏で経過をみます。
- Ⅱ度熱傷(部分的深層熱傷)
- 特徴: 表皮と真皮の上層が損傷し、水ぶくれができ、強い痛みがある。水ぶくれが破れると、赤く湿った表面が露出し、治癒には時間がかかります。
- 治療: 清潔を保ち、感染を防ぐためにステロイド軟膏や抗生物質軟膏などを使用します。深いⅡ度の場合、専門医による治療が必要です。
- Ⅲ度熱傷(全層熱傷)
- 特徴: 皮膚のすべての層(表皮、真皮、皮下組織)が損傷し、白くなったり、黒く焦げた皮膚が見られます。神経がダメージを受け、痛みはほとんど感じません。
- 治療: 緊急の専門治療が必要です。場合によっては、移植や手術が必要となることもあります。
- Ⅳ度熱傷(骨や筋肉まで達する深部熱傷)
- 特徴: 皮膚だけでなく、筋肉や骨にまで達する深い熱傷です。通常、非常に広範囲で、生命を脅かす可能性もあります。
- 治療: 外科的な介入が必須で、長期間の入院、治療が必要です。
受診の目安
こどものやけどで、確認することは➀熱傷部位 ②広さ ③深さです。

上記のフローチャートに従って、お子さんの熱傷の程度を確認し、オレンジ色に当てはまる時には
受診をするようにしましょう。
- Ⅱ度熱傷以上(特に深いⅡ度、Ⅲ度以上の場合)
- 水ぶくれが大きく、白色で痛みがない場合や、皮膚が白や黒に変色している場合、筋肉や骨にまで達しているように見える場合には迅速に医療機関を受診しましょう。
- 目、性器にやけどを負った場合
- これらの部位は特に重要であり、治療が遅れると機能や見た目に重大な影響を与えることがあります。
- やけどの範囲が広い場合
- こどもの手のひら1枚分以上の面積は広範囲やけどとなり、体の中での水分や塩分のバランスに影響を及ぼすため、受診が必要です。
- 呼吸困難がある場合
- 煙や熱で気道にダメージを受けた可能性がある場合は、すぐに救急車を呼び、病院に運んでもらう必要があります。
- 感染の兆候が見られる場合(のちに出てくる可能性があり)
- やけどが化膿している、膿が出ている、赤く腫れて痛みが増している場合は、感染が疑われますので、速やかに受診してください。
緊急の受診はない場合に自宅でできること
やけどした部分をすぐに冷水で冷やします。冷やす時間は10分程度が目安です。
痛みが強いようでしたら、引き続き冷却をします。
水ぶくれを破らないように気をつけながら、清潔に保ちます。
水ぶくれの中には、傷を早く治してくれる組織液がたっぷり。
できるだけ破らないように愛護的にケアをしてください。

だんだんとしぼんでいくのが理想的ですね。
割れてしまった後は、感染に注意です。
痛みが強い場合は、適切な鎮痛剤(アセトアミノフェン)を使用することも有効です。
やけどの治療は、症状が軽いうちに適切な対応をすることが回復を早めるポイントです。
深さの浅い熱傷に関してはステロイド軟膏を早期に塗布し、炎症を沈めてあげるとよいです。
以下にステロイド軟膏の注意点、使用の仕方についてくわしく、記載します。
ステロイド軟膏を使用する時の注意点
- 塗布範囲と量:
- ステロイドを塗る範囲は最小限にし、必要以上に広範囲に塗らないようにします。
- ステロイドは1日に2回を目安に塗りましょう。
- 塗布するタイミング:
- やけどの初期段階(炎症が強い時期)には、炎症を抑えるためにステロイドが効果的です。

ステロイドはやけどの時によく使用します。
深い時、感染がある時には注意なので
医師に相談してから使用することが望ましいです。
ステロイド塗布の方法(軽度のやけど I度やII度の場合)
やけどした部位をやさしく水で洗い、清潔なガーゼやタオルで軽く水分を拭き取ります。
感染のリスクを減らすため、1日1回は優しく洗浄しましょう。
一般的にはストロングランク以上(リンデロン以上)のものを使います。
強いステロイドは、特に目の周りや外陰部など敏感な部位には注意が必要です。
強くこすらないようにやさしく塗り広げます。水疱がある時にはより優しく、のせるように。
清潔なガーゼや包帯でカバーします。
ただし、圧迫しすぎないようにし、傷の通気性を保つようにします。
ガーゼは表面がつるっとした傷にくっつかないタイプがおすすめ。

病院では、つるっとしたガーゼ、メロリンガーゼを使用することが多いです。
粘着力の強いタイプの絆創膏(キズパワーパッド)などは、感染に気付くのが遅れたり、剥がす時に水疱を破ってしまうことがあるので、注意が必要です。
炎症の改善が見られるかを観察。
もし痛みや腫れがひどくなる、細菌感染が疑われるようであれば、医師に相談してください。
先ほどのおすすめ、メロリンガーゼはこちら。
表面がつるっとしており、水疱がやぶれにくいのでおすすめ。

防げる事故は未然に防ごう
全く動かなかった赤ちゃんも、生後5-6か月を過ぎると活発になります。
10か月をすぎると、つかまり立ちをして、今まで届かなかったテーブルに手を伸ばすようになったり、
気づくとコンセントや、つけっぱなしのアイロンの近くにいたり・・・ひやっとすることが増えます。
もちろん完全には防げないこともありますが、赤ちゃんの行動範囲内にあるものは、より慎重に選ぶ必要がありますね。
わたしも下の子はまだまだ小さいので、気を引き締めなくては!と思います。
一緒にがんばりましょうね。

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