こんな便がでたんですけど・・・これもよくある診療の一コマです。
普段と見慣れない便が出ると、心配になりますね。

大丈夫かな?何か体の中で起きているのでは?
実際の便を見せてくるのは非常に役に立ちますし、難しい時にはお写真でもよいです。
ぜひ受診される際には、お持ちくださいね。
本日は、緩い便や、心配な色の便に関してお話しします。
ゆるい便(軟便や下痢)
原因として考えられること
- 感染症:胃腸炎(ウイルス感染が多い)や細菌感染が原因で軟便や下痢が起きることがあります。
- 食事の変化:繊維質の多い食べ物や、新しい食材を食べた後に起こることも。
- アレルギーや不耐症:食物アレルギーや乳糖不耐症(牛乳や乳製品を消化できない)が原因のことも。
気をつけること
脱水症状が起きないように水分補給を心がけましょう。
注意すること:便に血液が混ざる、ひどい腹痛が続く場合は受診が必要です。
治療
緩い便の際には、腸内細菌がなんらかの影響で乱れてしまっている可能性が高いです。
この場合には整腸剤を使用し、経過をみることになります。
炭水化物を中心とした少量のお野菜や少量のたんぱく質など、消化のよいものを心がけ、
乳製品や食物繊維を必要以上に摂らないように気を付け様子を見ましょう。

離乳食を控えないといけないわけではないです。今まで食べて大丈夫だったものを中心、炭水化物を中心に摂取されてくださいね。
お子さんの下痢は長引きやすく、特に問題がなくても1-2週間続くことがあります。
崩れてしまった腸内細菌叢が改善するのに時間がかかるためです。
➀乳糖不耐症が合併している可能性
ミルクを乳糖不耐症用のミルクに変えたり、ミルクを飲む時に、酵素を一緒に飲む(乳糖を分解してくれる)ことで改善するかを確認します。
②その他
食物アレルギーなどで、下痢が長引いていることもあるので、疑わしい食材をお休みし、便の性状に変化があるかを確認します。
乳糖不耐症に関しても、記事をアップしました。のぞいてみてくださいね。

長引く下痢で同時に問題になるのが、おしりのかぶれです。真っ赤になって痛そうなお子さんが多いです。ぜひこの記事を参考になれ、上手にケアしましょう。

便の色の変化
緑の便
正常なことがほとんどです。
便秘のお子さんで、長く腸内に溜まっていたりすると、酸化して緑色になることがあります。
また緑黄色野菜を多く摂取すると、緑色になることがあります。
黒い便
正常の場合
➀生まれたばかりの赤ちゃんが出す胎便:黒色で、1週間ほど続く。
②お母さんの乳首から出血がある:母乳と一緒に血液を飲んでしまっている場合にも黒い便になる。
③鉄剤の内服や、ブルーベリー、海苔などをたくさん食べると黒い便になる。
これらが原因の黒い便は、特に治療の必要はなく経過観察になります。
異常の場合
消化管出血(胃や腸、特に上部消化管からの出血)が考えられます。
大量の場合には緊急性がありますので、すみやかに受診して検査を受ける必要があります。
白い便
なんらかの原因で胆汁が分泌できていない可能性があり、便に色がつかず、白い便になります。
その場合、肝臓や胆道系に異常があることがあります。
これは生後2か月ころまでに発症します。
この場合は必ず受診するようにしてください。
しかし、
肝臓や胆道系に異常がなくても、下痢が続いた後などに一時的に白っぽい便が出ることはあります。
これは小腸の粘膜がむくんで、胆汁の排泄がうまくいかない場合などに起きるので、小腸のむくみが落ち着けば、便の色も改善するので、特別な治療はいりません。
赤い便
正常の場合
➀赤い食材(トマトなど)を食べた影響。
②ごく少量の血液混じりの粘液が出る
これは母乳栄養児に多い、「リンパ濾胞増殖症」の可能性が高いですが、判別が難しいと思いますので、医師に確認するようにしましょう。

参考までにこんな感じの便です。これはうちの子が生後4か月の時に出ました。
粘液混じりの少量の血液が、線状に付着しているのが特徴です。

異常の場合
血便の場合は大腸炎やアレルギー、腸重積などの可能性も。
どばっと出るような時には注意です。このときには必ず受診が必要です。
嘔吐や顔色が悪い、不機嫌、急に泣きはじめて急に泣き止む、発熱など、血便以外の症状がないかも確認しましょう。
健康な便の目安
色:黄褐色~茶色
形状:バナナ状が理想的。ひび割れがない。乳児ではペースト状や水っぽいことは正常です。
頻度:個人差がありますが、1日1~2回から2~3日に1回程度が理想的。
排便時間:5分程度が目安
(30分以上顔を真っ赤にしながらいきむ、などは硬い便の可能性があり)
その他:肛門に切れがある、見張りいぼがある、排便時に泣くなどは便秘のサインです
硬い便、便秘薬のことについては別の記事でお話しします、覗いてみてくださいね。


子どもの便をチェックしましょう
色、形、頻度、硬さ、排便にかかる時間を日々観察しましょう。
受診するときには、おむつごと持ってくる、難しい時には便のお写真をお願いします。
年長児になってくると、観察する機会が減りますね。
たまに見せてもらう、変な便が出たら流さずに呼ぶようにお話ししましょう。

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