
子どもの下痢がなかなかよくなりません・・・なぜでしょうか?
お子さんの下痢が長引くと、何か悪いことが起きているのではないかと心配になりますね。
この場合に、考えた方がよい病気として「乳糖不耐症」があります。
この病気が、なぜ起きるのか、検査方法や治療など、わかりやすくお話しします。
乳糖不耐症は、ミルクなどの乳製品に含まれる、乳糖(ラクトース)を消化するための酵素「ラクターゼ」の欠乏または活性低下によって引き起こされる病気です。
この酵素の欠乏により、乳糖を小腸で分解・吸収できず、未消化の乳糖により、下痢が長引きます。
乳糖不耐症の原因
- 遺伝性で、ラクターゼが全く生成されない、非常にまれ。
- 新生児期から症状が発現。
- 小腸粘膜の損傷により一時的にラクターゼ活性が低下。
- 感染性胃腸炎の罹患後に発症

中でも 感染性胃腸炎後に乳糖不耐症になってしまう赤ちゃんが多いです。
乳糖不耐症の症状
- 下痢(特に水様性)
- 腹痛
- ガス(腸の中に空気がたくさん)
- 吐き気
- 体重増加不良
症状の重さは摂取した乳糖量や個々の耐性レベルにより異なります。
乳糖不耐症の検査
クリニックレベルでの医療機関では検査は行わず、診断的治療を行います。
乳糖を含まないミルクに変更して、下痢が改善するか確認する。
乳製品を摂るときに、酵素を一緒に内服してもらって、下痢が改善するか確認する。
これで改善すれば、「乳糖不耐症」なんだね。と診断するわけです。
便中のpH測定や呼気中の水素濃度を測定をすることもありますが、大きな病院で入院患者さんなどにやることが多い印象です。
乳糖不耐症の治療
- 乳糖を制限する
- 乳糖を含まないミルクに変更する、離乳食に乳製品を使わない
- ラクターゼ酵素を摂取して乳糖の消化を補助。病院で処方を受けます。

ラクターゼ酵素を、乳製品を摂る際に一緒に飲みます。
1日に7-8回ミルクを飲む赤ちゃんの場合、毎回一緒に内服しないとならず非常に大変です。
ミルク回数が多い赤ちゃんには、下記のような、乳糖が含まれないミルクを一時的に利用してもらうこともあります。


母乳にも乳糖は含まれるので、母乳の際にラクトース酵素を内服します。
胃腸炎後の乳糖不耐症の経過
- 多くの場合、胃腸炎が治癒してから 数週間~数ヶ月でラクターゼの分泌が回復、乳糖不耐症の症状も改善。
- 軽度の胃腸炎では、2~4週間程度で回復することが一般的。
- 重症例や粘膜損傷が大きい場合(例:ロタウイルス、ノロウイルス感染)、完全回復までに 1~3ヶ月以上かかることもある。

けれど、個人差も大きいのが正直なところ。
乳幼児は腸管が未成熟なため、回復に時間がかかる場合があります。
お子さんの下痢が長引くと心配になりますね。
乳糖不耐症でなくても2週間くらい続いてしまうことはあります。
ことらも参考になさってくだいさいね。

長引く時には、今回お話しした乳糖不症が隠れているかもしれません。
ぜひ小児科医にご相談くださいね。

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